ムーニーCM炎上に少し乗っかってみる〜炎上理由とKitKatのCMと比較を考える
昔ながらの「広告代理店がやってやりました」的な体育会系スタンダードのマス広告ですよね、これ。
クライアントうちでなかなか方向性が定まらずに、なんとか代理店がまとめたっていう感じがにじみ出てる気がします。
最終的に誰があのCMにGOを出したかわからないけれど、感じとった印象としては昭和なサラリーマン時代を過ごして「家庭のことは女の仕事」っていう考え方のオジサマたちなんだろうと想像します。
そのオジサマが若い頃にはまだ近所づきあいや家にジイさんかバアさんがいる家庭も多かったからまだましだけれど、完全核家族化した家庭が多い今、その頃のノリで子育てなんてしたらメンタルやられますよ。
その配慮が薄かったのか、この反響。そして炎上。
現実はこうです。
ブログ更新しました~カータンBLOG あたし・主婦の頭の中 : ムーニーのCMを見て思ったこと https://t.co/Epe5S3NGR6 pic.twitter.com/tqhkl1BXYG
— カータン (@katan703) 2017年5月11日
「子育てはそのくらい大変だから覚悟すべし」みたいな説教レベルのCMを軽々しく打つものじゃないと業界のはしっこで細々とやってる僕からしても思いました。
広告=顧客ベネフィットの訴求という観点からしても、このCMはまるで橋田壽賀子さんのドラマみたいになんとも後味が悪い(橋田さんのドラマはいい意味の“後足悪い”です)。
わりと多くのひとを不快にして不幸にしてる感じがするこのCMですけど、結局このCMでP&Gが訴えたかったのは何かさっぱり伝わらない。
ものを売りたいというメッセージもほとんどない気がしますし、説教そのものでまるで軍隊に1日入隊させられた感があります。
ムーニーのCMの「その時間が、いつか宝物になる。」ってテロップ、「今だけなんだから頑張りなさいよ~今が一番可愛い時期なのに~」と話し掛けてくる先輩ヅラしたババアを彷彿とさせるから燃えまくるんだろうなと思った。
— 深爪@重版御礼「深爪式」絶賛発売中 (@fukazume_taro) 2017年5月11日
炎上マーケティングしなきゃならないほど小さい会社じゃないんだから、もっとシアワセなCMを作ったらいいのにと感じました。
ムーニーのCM、古傷抉られたけど、あそこまでリアルに描いたのはある意味すごい。結論が「この時間が宝物に」ではなく、「私たちは漏れないオムツで育児を助けます。だから、あなたは彼女を助けてあげて」っていう夫や周囲への問題提起CMならさぞかし良作だっただろうと思う。残念だ。
— ライ (@Mlagopus) 2017年5月10日
ただ・・・、
ムーニーのCMの何が問題かというと、必ずしも母によるワンオペ育児の現実を描いてはいないということ。乳幼児は、母親による虐待死亡が多く、社会問題と化している。そんな状況を改善しようとしている中で「いつか思い出になる」というノスタルジックなキャッチコピーはあまりにも能天気過ぎる。
— 柏崎!!! on ICE (@miraiko) 2017年5月10日
「社会問題をCMに反映…」みたいなツイートもあるけれど、P&Gがそこまで考えてるとは思えない。
多少感動が欲しくて最後の一文「この時間が宝物になる」になるんだろうし。
P&Gはオムツを売りたいことが目的であって、その手段が『ちょっとの感動にのっける』ことだったんじゃないか?
悲哀だけを大きく出しちゃったところに、受け手側の大勢のひとがもってた本物の社会問題がシンクロしたみたいな。
少なくとも今懸命に必死で育児してる人に向けたCMではなかったね。
だからこういう意見になっちゃうよね。
ムーニーのCMね、私鳥頭ですぐ忘れちゃうから『こんなんでしたなぁ私も泣いた泣いた』とは思ったけど『その時間がいつか宝物になる』のはかなり後な訳で今使ってる人なんてその時間真っ最中だしそれ言われてもって感じで宝物になるのくだり周りに今が一番可愛いって言われるのと一緒よねまさにこれ↓ pic.twitter.com/3pTYQNn3iy
— むーちゃん (@cheerfulgirl_a) 2017年5月10日
そこへきて同じようなタイミングでKitKatが出してるプロモーション動画はさすがだなと。
ストーリーもしっかりできてて、観てる人が絶妙なテンポで共感するように編集されてる。
KitKatの『ママの母親参観日』
https://youtu.be/1jj2qLbUpJc
KitKatは以前からブランディングとマーケティング手法に長けていて、かのフィリップ・コトラーも「やるね!」と言ったようです。
どこの広告代理店、クリエイターさんがやったのかが超気になるところ。
いつも読んでくれてありがとね!