イジメについて。(体験談)
これを書くのはめっちゃ勇気がいりますが、福島から自主避難した子どもたちが、行った先々でいろいろな形でイジメにあっていることを知って書かずにいられませんでした。
この記事『原発避難の小4男子、担任から名前に「菌」をつけて呼ばれる いじめ相談の5日後』を読んで。
こういう教師はいなくならないんだなと。
今イジメにあって悩んでる子どもたちに少しでも励みになればと思います。とくに一緒に悩む保護者と学校の先生にも。
僕は世間一般で言うところのいわゆる「いじめられっ子」じゃありませんでした。
生まれ育ったのは海と山に囲まれた二階建て以上の建物は病院くらいしかない田舎町です。
同級生はみな“生まれた時からお友達”みたいな幼なじみで、当時も今も素晴らしい親友です。
じゃ、お前はいつイジメられたのかってことですよね。
それは中学で部活に入ってからです。
当時は先輩が後輩を『シメる』というのは当たり前で1年生が2・3年生に、2年生が3年生にシメられるという流れになってました。
例外はナシ。問答無用です。
いわゆる『シゴキ』です。
僕は当時、格闘技がなんとなく好きだったし一つ上の幼なじみの先輩が入っていたという理由で柔道部に入部しました。
今思えばそこから明らかに人生が変わったと確信しています。
1、2年生のときにそこで体験したのは、汗をながして試合に向けて取り組むことでもなければ、練習中に好きな女の子が通りかかり、目が合ってドキドキする青春なんてのじゃない。
あるのはただひたすら『シメられる』ことだけ。
『シメられる』ってのは、つまり肉体的なイジメです。
殴られ、蹴られ、バックドロップにブレーンバスター…。つらつら書いてもきりがないのでそれならまだ良いほうだとしておきます。
今思えば、よくもまぁ首の骨も折れずにいたもんだと。
毎日がそんなだから試合に行けば負け、先輩も当然練習などしていないから勝てるわけもない。
練習もしないのだから負けて当たり前なのだけれど、彼らにしたら恥ずかしいのか次の日から八つ当たりのように僕らをシメます。
普段の倍以上に執拗に。
もうね、生き地獄ですよ。
それでも学校には行ってました。死んだ魚の目をして。
なぜ学校に行っていたか。親のためです。
心配かけたくなかったから。当然限界は来ましたけど。
子どもってそういうもんです。
子供は悲惨な現実を見続けると、気力をどんどん失っていきます。
ひょっとしたら大人よりも「死」っていうものをつねに身近に感じているのかもしれません。
大人になれば問題が立ちはだかると横へ逃げることができます。でも子どもは前に進めないなら後ろへいくしかない。大人が教えてやらなければそれしかないんですよね。
子どものイジメって、一見子どもどうしの問題に見えますけど、じつは大人の問題なんじゃないかと思います。
余談ですけど、最近の調査ではDVや育児放棄などの環境で育った子供たちはストレスから脳の血流が悪くなって発育に影響することが知られています。イジメのストレスも同様です。
悪影響しか残らない。
今まで自分の境遇を不幸だとか思ったことはありません。後悔もありません。
決して裕福な家柄ではなかったけれど、酒を飲んではあばれる親父がいる“昭和”な4人家族で近所には祖父母もいる超一般的家庭。まぁまぁ幸せな方でしょうw
今までも自分の好きなことをやらせてもらえて、親には本当に感謝してます。
ただ、その体験がなかったらと残念に思うことが一つだけあります。
小学生から抱いていた将来の夢です。
小学生くらいからずっとパイロットになりたかった夢も、中学ですっかり勉強することへの興味が無くなってしまい、教師への信頼もまったく無くなりました。
人を恨む生き方はしたくない。
親にも「ひとを恨むようなことをしてはいけない」と教わってきましたから。
ただ僕のなかでの例外があります。
当時の部活動の顧問は今でも許せない。
彼は今、ある中学の校長をしているそうです。
自分の生徒(僕の先輩)が怖くて、なにひとつ注意もできずに僕らがイジメにあっている時間、指導にもこず職員室でタバコふかしながら終了の時刻になるとやってくる。
僕が相談したとき「本当にそんなことがあるのか?」と引きつった顔でシラをきった男。
そんな彼が今も教育現場のトップとして教員に指導し、子供たちを教えているのかと思うとゾッとします。
だから現実的に言ってイジメもきっと永遠に無くなることはないと思う。
そんな先生ばかりじゃないことも知っています。
当時は全国的に校内暴力がおこり、尾崎豊が売れはじめてました(そういう時代ってことで…校内暴力とは関係ないです)。
ある教員の一人は木刀で腕を折られながらも、反抗する生徒にしっかり大人として、先生として「悪いことだ」と諭していました。それはとても勇気のいることだったと思います。
ま、部活の顧問のような教師がいるから校内暴力になったわけですけどね。
当時の先輩とは高校卒業したあたりからとてもよくしていただいて、よく遊びにも連れて行ってもらいました。
今でも尊敬し仲もいいです。
ただやっぱり部活顧問だった教師は許せないんですよね。だからどうってこともないんですけど今ばったり出くわしたらどうなるか…。
もう会わないようにしとけよと言いたいw冗談ですけど。ww
トラウマってやつですかね。
自分も人の親になり、イジメは人の存在を無視する行為だということを子どもに言い聞かせています。
自分がやられたらどう感じるかを考えろ、ひと言の重みを知れと。
これ、あたり前に教えることですよね。きっとそれすら教えない親や教師がいる。
イジメとはつまり、相手の存在を否定する行為です。自分とは異質の存在とみなす、いわゆる差別ですから。
子供は残酷で無知なのでそれができてしまい、ひとつの「遊び」になりかねない。
いまイジメにあっている子どもたちにひとつ言えるとしたら、親でなくてもだれでもいいからまわりのオトナたちに、がまんせず今のこまっているはなしをつたえてほしい。
じぶんのみかたになってくれるオトナをさがしてほしい。
いまキミをいじめてるのはトモダチじゃぁない。
いまつらいことがおきてるのはせかいのすみっこであって、せかいのすべてじゃないことをしってほしい。
そして大人たち、とくに教師には徹底していじめられる側の味方になってほしい。
ぼくの場合は自分の親が必死になって対応してくれました。
自分がダメ教師だと自覚してるえせ教師は、サラリーマンに徹して大人なりにイジメる側と同じ言動などせずおとなしく授業だけしとけ。
偶然何かに気づいた場合はちゃんとやってる先生に相談しろ。
真剣に向き合える自覚のある先生は、どうかひとりひとりの顔を普段からよく見て、前日と変わりないか見ていてください。
子どものイジメは子どもだけの問題じゃなく、どう対処するにもやっぱり大人の問題だから。
いつも読んでくれてありがとね!