地方の商店街は淘汰されてしまうのか?真の活性化はあるか?

僕が働く会社では商店街活性化のための「にぎわいの街プロジェクト」というのをやっています。
そのため、日本の商店街の動向はおおきな関心事です。
オリンピックを控え、東京都内は大規模な都市整備を進めています。
それと同時進行的に、国は今後の人口減少対策として全国的に地方都市部集中型の整備を念頭に計画をし、分散した商店街は今後成り行きにまかせて淘汰されるのを待って、中心となる市街地に人を集める計画です。
さみしい話ですが、いい面もあります。集中型の市街地をつくることにより人の分散化を防ぎ、公共施設や医療機関も中心に集めれば高齢者や病人の医療搬送などが容易になったりします。
その“中心市街地”が既存の商店街であればよいのですが現実はそうではなく、むしろ既存の“中心市街地”から離れていく傾向にあるのです。
既存の商店街から離れ行く“中心市街地”、商店街衰退の原因は?
原因のひとつに住宅供給のための土地開発・区画整理事業が考えられます。
日本の住宅供給というのは旧来の開発事業者の複雑な利権構造などが絡み、中心市街地から安い山林の土地を無理やり切り開いて区画整理し、元からあった地域社会との関わりやコンセプトなどはほとんど無視されているために、最寄りの既存商店街とかかわりのない完全に独立した新しい市街地が出来上がります。
よく言われている郊外型の大規模小売店進出が商店街の衰退を促進しているというのは、一部事実であるけれども、すべての原因ではありません。
商店街の現状は?
中小企業庁が発表した、全国商店街の空き店舗率は12年11月のデータで平均14.6%というデータがあります。
全国商店街振興組合連合会などが補助金を出して官民での連携を図るなどしていますが、経産省の天下り先などで話題になるだけで、資金の使われ方にも問題があるなど、効果が薄い。
そうした中でも、日本各地で集客が成功して繁盛店のある商店街も出ています。
補助金で成功して一時的集客に成功してそこそこの売り上げをあげてしのぐ商店街もあります。
しかしながら「商店街が復活した」と実感している商店主は日本でたった1%しかいないというデータを載せている本もあるくらい(「なぜ繁栄している商店街は1%しかないのか」辻井啓作著)、実際には売り上げをあげたり一見繁盛しているように見えても、実は“活性化”してはいないのです。
商店街復活はあるか?
全ての商店街の復活は現実的に無理でしょう。
僕が生まれ育った町も子供の頃に比べ、シャッターが閉まっているお店ばかりとなり、それどころか建物そのものが解体され駐車場になっています。それは現在進行形で増え、駅が目の前の、中規模商店街すらその傾向がみられます。
一度建物がなくなると、旧店舗を改装して開店ということができないので、復活は厳しいのです。
海外に行くと商店街には、わりと石造りの堅牢な建物が多く、シャッターが閉まっていても中を改修して開店している店も多く、なにより店主に若い人が多い。どうもそのあたりにヒントがある気がします。
まず観光資源があるのか?大人が楽しめる街になりそうか?子育てや住環境がよいか?そうしたことでUSPの考え方を取り入れて商店街としての差別化を図る。
官民が強力なパートナーシップで連携し、若い人がよりチャレンジングにお店を開店できるような制度を立ち上げ、規制を緩和して地域の首長が強力なイニシアチブをとる。そのための権限は各市町村長には与えられているはずなのです。
本当に子供達の将来、自身の将来を考えるためにパブリックコメントなどをどんどん利用して政治に参加しましょう。
待ちのスタンスでtwitterで行政に文句を言ったところで何もしてくれません。
案外小さなグループが、何万人も住む街づくりをできちゃったりするかもw。そうしたらかなり面白い!

足立基浩氏の「イギリスに学ぶ商店街再生計画~「シャッター通り」を変えるためのヒント」を読むと、日本の行政システムが似ているイギリスでいかに商店街を活性化させたかの実例や取り組み方、商店街活性化のための提案などが著者の調査のもとにわかりやすく書かれています。
商店街活性化を目指す関係者の皆さんはご一読を。
ちなみにこの方、曾祖父があの鈴木貫太郎元首相(終戦内閣)です。