大企業なのに小回りできる会社〜リクルート
少し前に『優秀な人財が、大きな企業の中でもつぶされず、その人らしく輝くためには?』という塩谷舞さんの記事の冒頭で、スタートアップから成長し、大きな会社になるにつれて小回りが効かなくなることを「オートバイ」と「列車」で例えていました。
大きくなれば、運べる荷物はうんと増える。安心感も増す。しかし同時に、失われてしまいがちなのが、スピード感や、現場の主体性だ。
会社が成長するにつれて個々のプレイヤーは一部の主体的に動ける人とその他大勢に分かれます。
やがて自分で仕事を作れる人は起業したり社内で自分の確固たるポジションについたりし、その他大勢はサポートに回ったり、ルーチンワークなんかをしているうちに自分のやりたかった仕事を見失い、日々あと追いの作業に追われて毎日を消耗していきます。
当然「その他大勢」は会社の負担にもなるわけで、血流のように流れる仕事は滞り、代謝を悪くさせて効率がどんどん悪くなります。
そうなると全社規模で「スピード感」も「主体性」も失われる。
でも、そうならない会社があります。
誰もが知る『リクルート』です。
現在、リクルート出身の起業家の方たちがおこした会社があちこちで勢いよく業績を伸ばしています。
数えあげたらきりがないですが、仕事がら気になるところでは、グロースアップをサービスとした『KAIZEN Platform』の須藤憲司氏や、様々な切り口でコンテンツサイトを運営して情報発信しつづける『株式会社グライダーアソシエイツ』の杉本哲哉氏などです。
リクルート出身起業家の会社は、テレビ番組などでも特集が組まれることもあるみたいです。
創業者の江副浩正氏はすでに亡くなられてますが、それでもなおリクルートが走りつづけ、その精神を受けついだ人たちが起業して成功する理由は何か。
2017年の暮れに出された、タイトルもズバリな『江副浩正』にヒントがたくさん書かれています。
まさに江副氏の人生とともにリクルートがあり、その精神が創りあげられたのだな、というのがよくわかります。
ちなみに2018年4月の時点で、Amazonカスタマーレビューが46件のうち星5が93%、星4が7%でした。その他の星はありません。
この本、亡くなられた江副氏ご本人が書かれるよりもリアルに、より事実に近く描かれているんじゃないかと思います。
映画の歴史考証なみに情報収集や検証、推敲などの努力を重ねられたんだと思います。
何より共著者のお二人ともがリクルート出身なので。
でも、手抜きも江副氏を神格化もしてなくて、そんなところも「さすがリクルートつながり」と感心しつつ、496ページの大作ですがグイグイ引き込まれて一気に読めました。
映画にしてもらいたいくらいです。
「起業家集団」のリクルート
僕は1971年生まれなので、リクルートというと贈収賄事件を連想します。
「結局のところ、これ犯罪じゃないよね」っていう判決で終わりましたが、14年もの永きにわたって裁判がつづいたために多くのひとの記憶に「事件」ばかりが記憶されてしまいました。
それでもその後に堀江貴文氏や三木谷浩史起業家が現れると、改めて江副氏が改めて評価されるようになり、メディアにも取り上げられてそのコメントなりを目にする機会ができました。
起業家の共通項が主体性とスピード感です。
江副氏もこの2つを備えた稀有な起業家だったと感じます。
そういう人が世の中にどんどん増えてます。
nanapiで有名なけんすうさんこと古川健介氏が先日ツイートした内容もそうしたマインドを持つ人の話でした。
数年前に「フランス人の友達にお好み焼き食べさせたらウケてたから、フランスでお好み焼き屋やったらいけると思うんだよね。だからいってくるわ」と友達がいってて、何言ってんだこいつ、って思ってたんですけど、人気があるらしく、思いついたらすぐ行動してやりきる人って強いなとすごい思った。 pic.twitter.com/wla7peDHkk
— けんすう (@kensuu) 2018年4月24日
日本人ってやたら直感を嫌いますよね。でも過去の経験値からくる直感は思い切って信じてみていいんですよね。そこも含めてスピード感なのかと。
そういえば、けんすうさんもリクルート出身者でしたねw
デキる会社が持ってるもの
デキる企業というのはデキるための法則とか手法みたいなものを必ず独自で持ってます。
Googleでいうとマインドフルネスを実践する研修プログラムで「サーチ・インサイド・ユアセルフ」というものがあります。
これは感情をコントロールしたりするような『心の知能指数』における、5つの要素(自己認識・自己制御・モチベーション・共感・コミュニケーション)を強化するもの。
また、星野リゾートだと管理職になるためのサポートプログラムなど。
リクルートは、ここ最近ようやく多くの企業がなんとなく気づき始めたことを、もうずっと前から実践していたわけです。
そこで働いていた人たちは、その手法がいかに効率的でクリエイティブかということがわかっていた。
ひた隠しにしていたわけでもなく、どこの会社でもやっている当たり前のことのように。
なのになぜか真似されることなく、リクルート独自の考え方として培われてきました。
そのリクルート出身者の方たちが、まるで『12人の使徒』のようにリクルートのマインドでもって成功するっていうことを実証したおかげで世の中の昭和なオジサン企業が若返り(または淘汰?)しつつあります。
個人もデキる先輩に学べばどんどん成長するように、企業だってデキる会社を真似てでも成長したほうがいい。
どんな個人も企業も高みをめざしていけば、自らを変えられるということをリクルートは実証しています。
こんな言葉を残しつつ。
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
古臭い考え方を見直して若い起業家に学べば、大人数が乗った古びた大型客船も、小回りのきくボートのように進み始めるはずですよね、たぶんww
いつも読んでくれてありがとね!